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産物の増加の影響による魚価低迷等により、厳しさを増している。その中で、経年的にみると収益率が悪化傾向にある漁業種類が多く、その傾向は特に大型階層に顕著である。また、漁業種類別に収益率の格差が生じている。
以上の魚種別・漁業種類別及び地域別の動向は、今後の漁船建造への取り組み検討する上で、重要な要素である。
2−3−2 漁船勢力と建造数等の推移
北海道における海水動力漁船の勢力の総隻数は、この10年間に約14%減少しているが、特に、20トン以上の隻数減少が著しい。結果的に平成7年には、99%が20七未満の漁船によって占められている。船質別にはこの10年間に、鋼船が約4割、木船が約7割減少している一方で、FRP船は微増となっている。アルミ船は隻数は少ないものの、近年着実な増加傾向にあり、注目される。
漁船建造隻数は、急速な減少をたどっており、特に平成2年以降はその傾向が顕著である。船型別には、10トン未満の小型漁船が建造のほとんどを占めている。建造した場所を道内外別にみると、沖合底びき網、定置、混合(3種類以上の漁業種類による組合せ漁業)は道内造船所で建造している実績が多いが、小型機船底びき網は大半が道外で建造されているなど、漁業種類別に道内造船所の強み・弱みが出ている。
2−3−4 北海道中小造船業の漁船建造への取り組み方策
全般的に厳しい漁業経営環境下にありながらも、地域や漁業種類によっては堅実な経営を維持している漁業も確実に存在している。北海道の中小造船業としては、当面期待できる経営が比較的良好な漁業分野での新規建造受注に全力をあげて取り組むべきであり、そのためには、「新造船建造(新規設備導入)意欲・投資体力」のある地域・漁業種類を見極め、積極的な営業姿勢が必要である。
また、資源管理型漁業の実現に向けた動向を注視し、漁業のニーズに見合った技術開発を進め、漁業者にとっての「開発の効果・有用性」を意識した、より有望なテーマに絞り込んだ対応が求められる。
2−3−5 ヒアリング調査の分析
北海道水産業の現状と、それに対する中小造船業の取り組み方策を踏まえて、資源管理型漁業に対応する漁船等の開発テーマを選定するため、ヒアリング調査を実施した。実施に当たっての観点を「漁場の自主的な管理保全」「作業の効率化・省力化」「漁獲物の高付加価値化」に置き、漁業関連機関等より聴取した。
その結果、漁業全般の状況としては、漁業就労者の高齢化・減少により将来的には協業化が進展するものと予想されており、その過程で、漁業関連の設備投資は現状よりも抑制されるものと考えられる。漁業経営の悪化の帰結として、新造船を取得できる経営体は、極めて限られたものになる。
そうした一方で、堅調な漁業経営を続けている地域もあり、その特徴として、漁場の計画的利用、効率性の重視、将来的展望への明確な意識、があげられる。
開発のポイントとなる事項に関しては、前述のヒアリング調査の観点から数多くの示唆を得

 

 

 

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